891人が本棚に入れています
本棚に追加
金髪男は一度も振り向くことなく煙草を揉み消し「行くぞ」と低い声を響かせ去って行く。
「まっ待てよ、ヒロ!!」
「ちっ…裕二行くぞ。」
他のヤンキー二人も彼には逆らえないらしく、私に恐怖メンチを残しその場を後にした。
「汚されなくて良かった。」
不良たちが落とした煙草の欠片を拾ってソメイヨシノを見上げると、花びらが風に乗って頬をかすめる。
ヒロ君が“大丈夫だよ”と言ってくれたような気がした。
「うぅ―!!莉衣、大丈夫!?」
「ごめん大丈夫。てか美沙、顔凄いことになってる」
「莉衣が殺さると思ったら涙が留まんなくなったんだもん」
「ごめん、泣かないで」
慌てて駆け寄って来た美沙は、瞳いっぱいに涙を溜めているからメイクが悲惨な状態。
最初のコメントを投稿しよう!