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「あの金髪タイプなんだけど、凄いカッコよくなかった?」
「は!?」
カッコいいなんてあり得ない未成年のくせに煙草なんか吸ってどうかしてるし。川沿いを歩きながら手鏡で化粧直しをする美沙を邪険な顔で見る。
「一緒のクラスだったら嬉しいな。彼女いるのかな?」
「顔なんか見てない。相手は不良だし関わるとろくなことないよ」
「それって偏見。莉衣はいいよね、もうすぐ“桜の君”が会いに来てくれるんだから」
「…うん」
「あーあ、私にもそんな人が居たらいいのに。白馬に乗った王子様とかね。よし、これで化粧完璧!!」
「――…逢えるといいけど」
桜を見上げながら呟いた言葉は、化粧が直って喜んでいる美沙に聞こえるはずもなく、落ちてゆく花びらと共に虚しく消えてゆく。
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