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あれから比呂君とは一度も学校で逢えなかった――…
そして彼と久しぶりに逢ったのは桜が散り緑が茂り始めた6月初旬。緑色になったソメイヨシノに凭れながら煙草を吹かし、相変わらず綺麗な金髪は太陽の光を浴びてキラキラ輝いていた。
「あれ八神比呂人じゃん。今日学校来てるとか超ラッキー」
「……本当だ」
「話しかけてこよっかなぁ」
比呂君が同じクラスだと知り、登校して来るのを待ち望んでいた美沙はパンダ目をこれでもかってほど見開いて嬉しそう。
一際目立つ綺麗な金髪に整いすぎた顔立ちと高い身長、この桜華高校で彼の名前を知らない人はいなかった。ファンクラブ、親衛隊等が常に比呂君の回りを囲んでいて近付けない程。
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