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振り向いた先には驚く程綺麗な顔をした男。
漆黒の髪は無造作にセットされていて、目尻に添って流れる切れ長の瞳に高い鼻、左耳にはピアス、肌けたシャツから見える男らしい鎖骨に高い身長。
どれを取っても完璧すぎる人で、思わず見惚れてしまう。
「幹さんだよね?」
「……」
「幹さん?」
「は、はい!誰……ですか?」
「急にごめん。俺は五十嵐爽(イガラシソウ)。隣のクラス」
「……どうも」
「突然なんだけど、今日一緒に帰らない?」
「は?」
頭が混乱する……
「超カッコいいじゃん。
莉衣、知り合いなの?」
「ううん。知らない」
イケメン男子の観察が趣味の美沙が、何やら悔しそうに顔を歪めてコソコソ話してくる。
「返事聞かせてくれる?」
「あ、お…お断りします」
「何で?」
「一緒に帰る理由が、ありませんので」
赤い顔を隠すように俯いて、丁重にお断りする。
罰ゲームか、それとも只の気紛れか。とにかく私はそんな遊びに騙されない。
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