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「じゃあ、行ってきまーす」
幹 莉衣子(みき りいこ)16歳。肩まで伸びた鬱陶しい黒髪を真横で2つに結び、真新しい制服を纏って外に出る。
淡い桜色(ピンク)のシャツに紅色のリボン、紺色のスカートと同色の上着。
なーんだ。案外、私立より可愛いかも。
「んわぁ、いい天気。今日も満開!」
空は今日の入学式をお祝いしているような晴天で、お向かいの庭は桜が満開。
大きく欠伸をした後、花びらが舞い散る桜並木を通って、徒歩20分ほどの桜華公立高校へ向かう。
「リイ、おはよ!」
「あぁ、美沙(みさ)おはよ……ってナニ!?その格好、どうした!?」
「ふふふ、イメチェン。どう?ちょう似合うっしょー?」
「似合、う?」
グロスをたっぷり塗った唇を突き出してクネクネする親友、安西美沙(あんざいみさ)の姿に驚いた。
胸下まである長い髪は明るめの茶色に染められ、真新しいはずの制服は着崩されて、パンダのようなアイメイクに恐怖すら感じてしまう。
美沙とは中学からの友達でどちらかと言えば私よりの真面目な部類に入るのに、この子に一体ナニが?
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