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「行こう!」
俺は、リカの手を掴んで、一刻も早くこの場を立ち去りたかった。
「待って、まだ片付けが‥。」
「俺がやっとくよ。」
海という奴が余裕なのは、毎日リカのそばにいられるからなのか、海は手を振って見送った。
「瞬!」
リカは、慌てて手を振り払った。
「気をつけないと‥。」
常に、俺はリカに気を遣わせている。
一歩外に出れば、離れて歩くし、会話もない。
それが、どんなに些細な時間でも。
リカは、イチャイチャしながら歩くのが大好きだし、ハワイにいる時なんか、至るところでキスをせがんできてたっけ。
リカの家のドアを閉めた途端に俺は、リカをきつく抱き寄せて、すぐにキスをした。
「アイツ‥ゲイって言ってなかった?」
嫉妬で狂いそうだった。
「さっきまで私もそう思ってた‥。
ねぇ、瞬‥気持ちは分かるけど
「何であんなことになってんだよ?」
とにかく、リカに会えないストレスや、焦りがどっと押し寄せていて、俺はリカにきつく詰め寄っていた。
「リカに隙があったんだろ?
俺が知らないことまだあるんじゃねぇ?」
「ない!
‥心配させて、ご‥めん。」
リカが泣き出した。
どんどん涙が出ている。
涙を拭うのが追いつかないほど、ヒクヒクとしながら泣いているリカを見て、俺はリカを責めたことを後悔した。
「リカ…ごめん…。」
1年乗りきって、格好良くプロポーズをしようと決めたのに‥
リカを守りたいのに‥
全然できてないな‥。
「もうヤダ!
久しぶりに会えたのに、なんでこうなるの?
瞬のこと好きだけど、好きだから、会えないなんて辛いよ!
瞬こそ、周りは綺麗な女の人ばっかりいるじゃない!?」
「俺は何もない!」
「これからは、わかんない!」
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