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5、覚悟
リカは、俺の仕事を知っているのか?
和泉さんが名刺を渡すのが見える。
リカは随分驚いている様子。
俺の仕事を知ってなのか‥あぁ、そういえば、和泉さんをイトコだと前に紹介してたっけ。
あ…リカもこっちを見ている。
ギュッと胸がしめつけられそうになる。
なんで、リカはこんなに近くで働いてんだ‥。
色々と考えながら、夢遊病のように、ゆっくりとリカに近づいていく。
「瞬!何やってるのよ!
ちゃんと会う機会作るから、今は待って!」
和泉さんが焦っている。
リカは店の客がこっちを見てざわついているのを、キョロキョロしている。
「リカちゃん、クローズは何時?」
和泉さんは、俺の腕をとりながら聞く。
「25時。」
「その頃に出直すわ!
ごめんね!」
結局、何もオーダーしないまま、店を出た。
「何やってんのよ。」
和泉さんが、俺の頭を叩く。
「ごめん‥近くに行きたくて。」
「お店潰す気?
抱きしめたそうな顔してたよ。」
周りに気付かれてたんだ。すぐに週刊誌にたれ込まれて、リカの店にはマスコミがやって来て、営業妨害をするだろう。
「リカちゃん、マスコミには1年前に顔知られてるんだから‥。」
去年、ハワイでの写真をパパラッチされて、大騒ぎだった。
「‥気をつけるよ。」
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