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リカを抱きしめたとき、懐かしいハワイの‥リカのにおいがした。
この香りが、胸をつまらせてしまう。
「…どぅした?」
リカは、知らぬ間に流れ落ちた俺の涙を指で拭った。
「なんで終らせたりしたんだろって、ずっと後悔してた。」
リカは、ハグして、まるで子供をあやすように、俺の背中をトントンとする。
こんなときは、3つ年上なリカになる。
「リカ、俺達
「瞬が好き。」
俺の言葉を遮ってリカが発した言葉は、全く俺と同じだった。
「でも、もう瞬には会わない。」
リカはクルッと後ろを向いた。
「こんなに近くにいて‥。
嫌だ。」
背を向けたリカにしがみつくように抱きしめる俺は滑稽だった。
「瞬の仕事が嫌い‥だから。
ワガママも言えない。」
とにかく、目の前にいるリカを諦めたくない。
正常な判断力はもうなかった。
「そっか。
それなら、芸能界を引退する。」
リカとのスローライフが手に入るなら、惜しくもなかった。
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