5、覚悟

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リカを抱きしめたとき、懐かしいハワイの‥リカのにおいがした。 この香りが、胸をつまらせてしまう。 「…どぅした?」 リカは、知らぬ間に流れ落ちた俺の涙を指で拭った。 「なんで終らせたりしたんだろって、ずっと後悔してた。」 リカは、ハグして、まるで子供をあやすように、俺の背中をトントンとする。 こんなときは、3つ年上なリカになる。 「リカ、俺達 「瞬が好き。」 俺の言葉を遮ってリカが発した言葉は、全く俺と同じだった。 「でも、もう瞬には会わない。」 リカはクルッと後ろを向いた。 「こんなに近くにいて‥。 嫌だ。」 背を向けたリカにしがみつくように抱きしめる俺は滑稽だった。 「瞬の仕事が嫌い‥だから。 ワガママも言えない。」 とにかく、目の前にいるリカを諦めたくない。 正常な判断力はもうなかった。 「そっか。 それなら、芸能界を引退する。」 リカとのスローライフが手に入るなら、惜しくもなかった。
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