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ひとまず、リカには万全な体制でプロポーズしたいと思ってる。
少しでも、俺達の結婚に障害を感じたら、リカは絶対にNOと言うはず。
だから…
「折り入って話したいことって?」
今から、事務所の社長に直談判をする。
「俺…結婚したい人がいるんです。」
「それは、去年すっぱ抜かれたハワイの?」
社長がヒゲを触りながら言い当てた。
「ど、どうして…。」
「思ってたより遅かったくらいだ。
ほら、瞬のこんな顔は、どんな役でも写真でも見たことない。
こーいう相手だから、おまえが簡単に諦めるとは思ってなかったよ。」
社長は、60代。
この業界も長い。
勘はめちゃくちゃいい。
「条件はこれだけだ。
1年やりきれ!」
社長は、メモ紙を俺に渡した。
「これは!?」
来年から始まる大河ドラマの主役が俺に決まったという内容。
「瞬はいくつになった?」
「もうすぐ26です。」
俺は大河主演と、リカとの結婚を掛けての緊張で、心臓がバクバクしている。
「いい年頃だ。」
社長は、満足気に表情を和らげた。
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