5、覚悟

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ひとまず、リカには万全な体制でプロポーズしたいと思ってる。 少しでも、俺達の結婚に障害を感じたら、リカは絶対にNOと言うはず。 だから… 「折り入って話したいことって?」 今から、事務所の社長に直談判をする。 「俺…結婚したい人がいるんです。」 「それは、去年すっぱ抜かれたハワイの?」 社長がヒゲを触りながら言い当てた。 「ど、どうして…。」 「思ってたより遅かったくらいだ。 ほら、瞬のこんな顔は、どんな役でも写真でも見たことない。 こーいう相手だから、おまえが簡単に諦めるとは思ってなかったよ。」 社長は、60代。 この業界も長い。 勘はめちゃくちゃいい。 「条件はこれだけだ。 1年やりきれ!」 社長は、メモ紙を俺に渡した。 「これは!?」 来年から始まる大河ドラマの主役が俺に決まったという内容。 「瞬はいくつになった?」 「もうすぐ26です。」 俺は大河主演と、リカとの結婚を掛けての緊張で、心臓がバクバクしている。 「いい年頃だ。」 社長は、満足気に表情を和らげた。
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