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「俺、実はバイなのかな?
リカちゃんを思わず抱きしめたくなったし、こーしてると、キスしたくなる。」
ビックリしすぎて、バッと顔を上げたリカ。
「うん‥やっぱりそうだ。」
海はそう言うと、リカの口に重ねてきた。
海にとっては、意外なことかもしれないけれど、リカにとっては、海はやっぱり男の人なんだと思えていた。
「ちょっと前からね、リカちゃんのこと、きになってはいたんだ‥。
でも、そーいうのって、妹的な感じだと思ってた。
今、分かったんだけど、アイツに嫉妬してる‥。」
リカが動けないうちに、海はリカから口を放していた。
そして、海の目線がリカにないことに気づく。
ハッとして、リカは振り返った!
「し、瞬!?」
いつからそこにいたんだろう。
自動ドアは掃除中の換気の為に、開けていたから、瞬が入ってきたのには気づかなかった。
「違う‥。」
眉がつりあがって、目も大きく見開いて、怒りを口にできない瞬と、ショックすぎて、ただ首を振るしかできないリカ。
「余裕がないなら、別れてよ。
リカちゃん、萎縮しきってて可哀相だ。」
ただ一人、冷静な海。
そして、海もリカの様子が心配で、時間を見つけて会いにきた。
普通なら、少し時間ができた日は、明日に備えた準備をするところだけど、リカが一切、自分の話をしないこと、束縛めいた話をしないこと‥そんな、ただ瞬の生活を気遣うような振る舞いしかしていないことに、瞬は申し訳なさを感じていた。
そして、何よりも、リカに会いたかった。
「っ!女に興味ないふりしやがって!!」
瞬は、海の胸ぐらをつかんだ。
「うん。リカちゃん以外の女の子には反応ゼロだよ。俺も今知った。」
海は、動揺もせずに、瞬と向き合っていた。
「近くで見ると、やっぱりカッコイイね。」
瞬はバカにされた気がして、ますます力を込めた。
「だから、独占欲が強くて、心配症なリカちゃんには、俺は安心だよね?」
海は、リカの方を見た。
「海‥私は瞬しか見てないの。」
リカはオロオロとしながらも、ハッキリと伝えた。
「知ってる。
奪う気はないけど、リカちゃんが望むなら、いつでも。」
海は、瞬を払いのけて、笑顔を見せた。
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