6、試練

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「俺、実はバイなのかな? リカちゃんを思わず抱きしめたくなったし、こーしてると、キスしたくなる。」 ビックリしすぎて、バッと顔を上げたリカ。 「うん‥やっぱりそうだ。」 海はそう言うと、リカの口に重ねてきた。 海にとっては、意外なことかもしれないけれど、リカにとっては、海はやっぱり男の人なんだと思えていた。 「ちょっと前からね、リカちゃんのこと、きになってはいたんだ‥。 でも、そーいうのって、妹的な感じだと思ってた。 今、分かったんだけど、アイツに嫉妬してる‥。」 リカが動けないうちに、海はリカから口を放していた。 そして、海の目線がリカにないことに気づく。 ハッとして、リカは振り返った! 「し、瞬!?」 いつからそこにいたんだろう。 自動ドアは掃除中の換気の為に、開けていたから、瞬が入ってきたのには気づかなかった。 「違う‥。」 眉がつりあがって、目も大きく見開いて、怒りを口にできない瞬と、ショックすぎて、ただ首を振るしかできないリカ。 「余裕がないなら、別れてよ。 リカちゃん、萎縮しきってて可哀相だ。」 ただ一人、冷静な海。 そして、海もリカの様子が心配で、時間を見つけて会いにきた。 普通なら、少し時間ができた日は、明日に備えた準備をするところだけど、リカが一切、自分の話をしないこと、束縛めいた話をしないこと‥そんな、ただ瞬の生活を気遣うような振る舞いしかしていないことに、瞬は申し訳なさを感じていた。 そして、何よりも、リカに会いたかった。 「っ!女に興味ないふりしやがって!!」 瞬は、海の胸ぐらをつかんだ。 「うん。リカちゃん以外の女の子には反応ゼロだよ。俺も今知った。」 海は、動揺もせずに、瞬と向き合っていた。 「近くで見ると、やっぱりカッコイイね。」 瞬はバカにされた気がして、ますます力を込めた。 「だから、独占欲が強くて、心配症なリカちゃんには、俺は安心だよね?」 海は、リカの方を見た。 「海‥私は瞬しか見てないの。」 リカはオロオロとしながらも、ハッキリと伝えた。 「知ってる。 奪う気はないけど、リカちゃんが望むなら、いつでも。」 海は、瞬を払いのけて、笑顔を見せた。
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