6、試練

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リカはヒステリーになっている。 「俺は絶対にリカを不安にさせることはしてないし、しない!」 俺を何度も突き放す、リカの両手を掴んで、動きを制した。 「リカ、リカ! こっち向いて!?」 そして、顔を無理矢理上げさせた。 「俺だって不安だし、自信なんかない。 でも、この仕事が終わったら…とにかく!終われば報われるから。 俺を信じて? な?」 目と目を合わせて、リカに想いを伝えた。 「…我慢できたら、何でもワガママ聞いてくれる?」 リカは泣き止んで、子供の様に腕の中に飛び込んできた。 「もちろん! 今でも聞ける範囲なら、多少の無理してでも聞くから、抑えつけなくていい。」 「じゃ、瞬と一緒に住みたい!」 リカらしいお願いだった。この先のことを知らないリカなら、そう言うだろう。 無理だけど… ここでリカを失うなら意味がない。 どうにでもなればいい! 「そうしよう! 引っ越す暇がないから、俺の家においで? ここよりは、広いから。」 リカは、どれだけ警戒していたかを知ってるから、ビックリした顔をしている。 「でも、もし… 「いいよ。 リカを失うよりは何でもマシ。」 リカは、嬉しそうに俺に寄り添った。 「やめたぁ。」 「え?」 「さっきの撤回! 瞬の気持ち伝わったしね。大事なお仕事の足を引っ張りたくないもん。 変なこと言って、ごめんね。」 いつものリカに戻ったみたいだ。 「‥まだまだ、大河終わるまで長いけど、今日みたいに時間が空いたら、絶対に会いに行くから!」 リカは腫れぼったい目を抑えながら、ニッコリと笑った。
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