1、運命

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「パスポート、3週間くらいかかるって。 大丈夫?」 「ギリギリ大丈夫。 …バカンスはなしだけど。」 てか… 俺、無一文なのに、3週間どーする!! 「うちでよければ来る?」 「いや‥さすがに、それはっ。」 「じゃ、どーするの?」 さっき初めて会って、3週間はマズイよな。 けど…助かる。 「…迷惑かけて、お世話になって、すいません。」 頭を下げた。 「気にしないでいいよ! それに、私、あなたに一目惚れしちゃってて。 嬉しいくらい! だから、あの瞬間も見てたのよ。」 あ、そうか、俺のこと全く知らなかったんだ。 …てか、どう反応していいんやら。。。 「…どうも。」 「ね、名前何て言うの?」 名前聞かれたのなんか、久しぶりだ。 新鮮だな。 「朝比奈 瞬。 そっちは?」 「私は、風見 リカ。」 「急に悪いけど、お世話になります。 てか、さっきから既に色々してもらってて悪い…。 日本帰ったら、必ず恩返しするよ。」 「いい!いい!ゆっくりしてって~。」 そして、車を停めた。 「何人かで住んでんの?」 ビーチ沿いの一軒家。 「一人だよ。 さっきまで、両親いたんだけどね。 空港まで送ったときに、瞬に会ったの。」 なるほどね。 すると、ここは… 「まさか別荘?」 「今はそうかな。 もともと住んでたんだけど、両親の仕事の都合で日本に行って、今は私だけがこっちにいるー。」 どうりで、日本人離れしてるはずだ。 よく見たら、瞳が茶色だな。 「ハーフ?」 「うーうん。 クウォーター!」 それから、リカの話を沢山聞いた。 リカは、ハワイで生まれて、12歳までいた。 12~23歳まで日本。 23歳~ハワイに戻ってきて、留学4年目らしい。 なので、若く見えたけど、俺より2つも年上。 ハワイで大学に行きながら、観光客にフラダンスを教えるバイトをしてるらしい。 「瞬はいくつ? 何してる人?」 「25だよ。 俺は…普通のサラリーマン。有給休暇中ってとこ。」 何故か、俳優だということを隠したくなった。 「え?年上だと思ったなー。 ね、どんなお仕事するの?」 「えっと‥ 映画制作とか‥」 うん‥嘘はついてないし。 「どーいう映画を作ったの?見たいなー。」 まずい。。。 そうなると、バレバレ。 「まだ、入ったばっかりだしさ。」 焦った。。。
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