ブサイクの生き様

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霧生篤彦め。 階段で無様に転べ。 私は日に何度か こうして心の中で呪いの言葉を唱える。 今は合同体育の時間。 二クラス合同で サッカーをしている。 もちろん女子のみ。 男子は体育館でバスケをしているらしい。 中学時代バスケ部だった 宇津木は大活躍だろう。 「トラベリングで」 「トラベリングかよ。 バスケ部だったんじゃないの?」 ミドリが軽く笑う。 「シュートはね。 すごかったらしいんだよ。 シュートだけしておけって 話なんだけどさ、 でも、前に出たがるから」 「目立ちたがりだからなあ」 ミドリ。 本名は三重 美登里。 少し言いづらい名前の彼女は 私と一番よくしゃべる。 オタクだけど 運動神経がものすごくいい。 オタクだけど絵がへたくそ。 これを言うと 「おい。それは偏見だろ。 オタクに謝れよ」 と怒る。 そんなミドリは 隣のクラス。 合同体育だけ一緒になる。
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