ブサイクと王子

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「誉めてるのに…」 「どこがだ」 頬を膨らませるな。 私のために弁解させてもらうが 私は霧生篤彦が言うほど ブサイクではない。 例えば、顔の造形を十段階で 習わすなら五か四だ。 他人からの私の顔の評価は 『可もなく不可もない顔』だ。 だが、 霧生篤彦という有名人が 私をブサイクブサイクと言うことで世論が操作されてしまう。 本当に勘弁してほしい。 ああ。ほら。 またキラキラと微笑む。 やめてくれ。 私は霧生篤彦が嫌いだ。 何が嫌いかって? 生理的にだめなんだ。 このTHE王子様的立ち位置も、 整った容姿も、 私をブサイクブサイク言う 発言も。 他にも色々。 全部嫌いだ。 王子なら大人しく テニスとかやってろ。 「すう。おっす」 品が欠落した声が後ろから のしかかってくる。 宇津木弘樹だ。 馴れ馴れしく私の頭を ぐしゃぐしゃと掻き回す。 「離せバカ」 「バカって言った人が バカなんですう」 「黙れ小学生」 宇津木弘樹は、発言事態は 小学生だが、一応高校生だ。 幼稚さが抜けないのは 思考回路が残念な作りだからだ。 悲しいことに、 宇津木弘樹は私の幼馴染みというカテゴリーに分類される。
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