ブサイクと王子

6/9
前へ
/153ページ
次へ
「宇津木」 霧生篤彦が むっとした顔をしている。 それを見て宇津木は 粗野な笑顔を向けた。 「なんだいプリンス」 「鈴子さんの頭ぐりぐりするの、 やめろ」 霧生篤彦は それなりに本気に見えた。 いや。 真面目に怒っている。 「俺ら幼馴染みっすから。 特権っすから」 「幼馴染みなら 許されるのか?」 「許されますよお。 幼馴染みだから。 ねー。すうちゃん」 宇津木がニヤニヤ笑いながら 更に頭を掻き回してくる。 鳥が巣と勘違いして 住み着けるくらいの オシャレな髪型にされた。 宇津木め。 鼻からパスタ出して笑われろ。 余談だが「すう」とは 私のことだ。 鈴子の「す」に長音。 「幼馴染み… ずるい…! なんで鈴子さんは 俺と学区が違うんですか!」 霧生篤彦が恨めしそうな目を してくるが知ったこっちゃない。 というか、王子様は 完全に小学生高校生の宇津木に 遊ばれている。 気づいていないのか。 王子様のお戯れなのか。 ロイヤルジョークはついていけないぜ。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加