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煙は美晴を一瞬取り囲むと窓に向かった。
女将さんの体をすり抜け夜空に吸い込まれていく。月を見上げる女将さんの背中はとても優しく見えた。
・・・俺たち3人は昇華と呼ばれる現象がすべて終わるまで黙って見守った。
あのときに見た煙はさつきさんとおっちゃんの昇華に違いない。発言してまで確認する必要はないだろう。
・・・見送りが終わり女将さんの口が動いた。
「これ以上あなた方に罰を与えるつもりはないわ。時間をあげる」
そう言うと斧を持って女将さんは隠し扉の中に入って行った。
ウィーン。
自動で棚が元の場所に戻ってゆく。何か仕掛けがあるのだろうか?すぐに隠し扉が視界から消えた。
女将さん・零次さん・達也さん・さつきさん、そして、廊下にいたまどかちゃんの姿が消え201号室の部屋は俺と美晴だけとなった。
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