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美晴の瞳が揺れる。
「先輩・・・、私先輩とお別れしたくない・・・」
美晴が歩み寄る。そして俺の胸におでこをあてた。表情が見えないが泣いていることが体に伝わってくる。
俺は腕を回し自分の頬を美晴の頭に乗せてギュッと抱きしめた。
爽やかな香りが鼻に届く。お風呂上がりの匂い・・、これで本当に死んでいるのか?
“お前は死んでなんかいない!”その言葉は胸で消える。
美晴の心境を考えれば、そんな言葉は言えるはずがない。代わりに切なさが一気に込み上げてきた。
・・・愛しい。
まだまだ一緒にいたい・・。
俺は力いっぱい抱きしめた。今抱いている愛、そして、これからの育んだであろう愛もすべて渡すかのように強く・・・。
胸に手をあて震える美晴を守りたい。
・・・此処から二人で逃げることはできないのだろうか?
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