261人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・せん、ぱい・・」
「美晴?」
美晴の苦しそうな声に驚き俺は腕の力を緩めた。
強く抱きしめ過ぎたようだ。
俺を見つめる美晴の顔・・。・・・その先に黒い影が見える。
俺はそれを確認するために両手を伸ばして距離をとった。
「美晴・・・おまえ・・・」
美晴の鳩尾(みぞおち)にナイフが突き刺ささっている。美晴の手が真っ赤に染まっていた。
「先輩の・・・腕のなか・・で、死にたかったの・・」
美晴は最後の力を振り絞って口角をあげた。幾つも涙が頬を伝っていく。
「美晴っ!!!!おまえ、おまえッ!!!」
震える美晴をもう一度強く抱きしめた。
「美晴ッ・・・、美晴ッ!!」
最初のコメントを投稿しよう!