運命

4/5
前へ
/117ページ
次へ
「ごめん、あの頃は部活に集中していたから。名前、聞いてもいいかな?」 「・・・ミハル。安西美晴です」 「美晴ちゃんかぁ、改めてよろしくね」 「はい!」 だいぶ息が落ち着いてきた。そして、胸の鼓動も。 「美晴ちゃんはどうしてこんな所に?」 「えっと・・・」 口篭っている。聞いてはいけなかったのだろうか? 「俺は撮影で来たんだけど、スタッフと逸れてしまって・・・、ほら」 おどけながらボロボロのコートを開いて見せた。 「そうだったんですか。先輩も大変でしたね」 「まぁ俺の場合は、自業自得だったんだけどね」 「えっ!?」 「まぁ俺のことはいいから美晴ちゃんのことを教えてよ。まさか、ひとりで来たの?」 彼女は小さく頷いた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加