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「ホントに本物みたい!おじさん凄いね!」
声だけでも興奮しているのが分かる。
「だろ?」
熊がドヤ顔をした。二人とも愉しそうだ。
「それでおじさん、なんでこんなに所にいるの?」
暫くの沈黙の後、熊が口を開く。
「・・・死のうと思うてな」
「へっ?」
俺たちは我が耳を疑った。そして、再び沈黙が流れる。
「その話、もっと詳しく訊かせてもらえませんか?」
先に口を開いたのは美晴だった。力強い口調、真剣な眼差しでおっちゃんを見詰めている。
「私、実は記者なんです。自殺者が急増している現代、私に何かできることがあるんじゃないかって。・・・それで私、此処に来たんです」
美晴の瞳が揺れ始める。此処は樹海、自殺者が多いのだろう。
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