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「・・・私の両親、私達が小さい頃に自殺して。・・・・ねぇ、お願いおじさん!どうして死のうとしたのか訊かせてもらえませんか?」
美晴の眼つきが更に鋭くなる。それを見たおっちゃんは首を小さく立てに振った。
美晴は小型のレコーダーをポケットから取り出し質問を始めた。
会話は約1時間以上続けられた。たまに俺も口を挟んだがほとんど黙って聞いた。
出生から妻との出会い、会社の事、二人の娘さん、そして、生まれたばかりのお孫さんの事など、美晴は真剣に訊いていた。
借金で迷惑を掛けたくないと奥さんと離婚をしたが、娘さん達は電話にも出てくれないという。
失うものモノ・守りたいモノ・生きがいすべてを失い、気が付いたらこの最高傑作を持ってこの森に来ていた、という事だった。
最後の方は声を詰まらせながら語ってくれた。
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