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「陽が傾いてきたな」
天井に広がる森を見上げる。
「今日もこの森で過ごすことになりそうやな」
「え~私どうしよう」
着替えのことを言っているのだろう。手荷物を持っていない。
「あっそうだ。美晴、携帯は?」
“ちゃん”付けを忘れた。
「・・・失くしちゃったみたいなの。足をすべらせて段差から落ちたときに」
美晴は気にしていないようだ。おっちゃんは携帯を持っていそうにない。
持っていたとしても、3日も経っていたら電池は切れているだろう。
「儂が見付けた穴蔵があるからそこに向かおうや」
「此処から近いんですか?」
「必死に兄ちゃん達についてきたからなぁ。ん~たぶん、帰れると思うで」
「此処にいても仕方がない。陽が暮れる前に、とにかく急ぎましょう」
俺達は元来た方だと思われる方向へ歩みを進めた。
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