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彼此5時間以上歩き続けているが周りに人影はない。
撮影の移動中、見たこともない赤紫の花が咲いていた。
木漏れ日がその花だけに差し込み、神々しく輝いて見えた。
俺は心を奪われ、そしていつの間にかクルーも奪われた。
そう迷子になったのだ。
ひとりだと気付いたときに大声を出しても良かったのだが、クールなキャラで売っている俺には出来なかった。
いや、やらなかった。
遠くからマネージャーたちの声が聞こえたが俺の足は反対方向に歩いていた。
ひとりになりたかった。何も考えなくていい時間が欲しかった。
俺は操られるように森の奥へと歩み進んだ。
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