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10分ほどだろうか何も考えず歩いていたら気持ちが少し落ち着いた。
それで心配しているクルーの元に戻ろうとしたのだが、全く帰る方向が分からない。
さっきまで聞こえていたスタッフの声も全く聞こえず、代わりに風の音だけが耳に届けられた。
急に不安が押し寄せて来る。
ひとりになるように仕向けたのは俺自身だというのに、後悔してももう遅かった。
30分ほど歩き回ったときに流石にヤバイと木々に目印を付け始めた。
石で樹に文字を刻む。テレビでやっていたサバイバル番組を思い出したのだ。
木の切り口で方角が判るというのもそのときに伝えていたが、俺の周りにはひとつも切り株などない。
まぁ方角が判ったとしても俺には何もできない。
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