赤紫の花

7/7
前へ
/117ページ
次へ
「キャーーー!!」 突然遠くから女の叫び声が聞こえてきた。 そして、俺は気付けば走っていた。無我夢中で声がした方向に。 「女性を助けたかった」と言ったら嘘になる。俺は誰でもいいから早く人に会いたかった。 走っているなかで俺は気付く。今日のクルーのなかに女がいなかったことに。 スタイリストさんもヘアメイクさんも全員男だ。 じゃあこんな森のなか一体誰が? もしかして出口? 俺は期待した。乱暴に茂みを掻き分けて進む。 そして、ひと際大きい樹を先に見付けた。取り合えずそこを目指す。 「お~い、誰かいるのか?」 声がしたのもこの辺りだと思うのだが返事がない。 このまま独りきりかもという不安が再び湧き上がってきた。 そして、それは突然起きた。 茂みを掻き分けた先・・・ 森のなかで、俺は熊と出会った。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加