僕という人間

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 僕という人間を、一言で表すとするならば、出てくる言葉は間違いなく「温厚」だろう。 それを否定することはしない。 僕と言う人間は、怒りを誰かにぶつけたことがないからだ。 そんな僕を見て、お人よしだなんて言う人もいるけれど、それは少し違うように思う。 僕にも不満はあるけれど、ただ口にしないだけだ。 言わないだけで皆が楽しく過ごせるのなら、それが一番いいに決まっている。 波風立てず、平和に。 将来は、平均的な収入を得て、可も無く不可も無い、けれど愛しい人を妻にして、平和に生きていくのが理想。 子どもは多すぎなければいい。 奥さんが望まないのなら、一人っ子でもいいし、子どもがいない家庭でも構わない。 つまらない男かもしれない。 それでも、波乱万丈な人生よりはずっといいだろう。 だって僕は、普通が一番幸せだということを知っている。
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