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翌日、登校してすぐに堀井さんが声をかけてきた。
「駿くん、おはよ」
「あ、おはよう」
正門で鉢合わせたため、そのまま一緒に教室へ向かって階段を上がる。
薄汚れた白い壁や床が、今日は華やいで見える。
というのは、きっと僕の頭がすっかり春になっているからだ。
「あれ? 今……駿くん、て……」
「ふふ、だって野崎くんじゃ堅苦しいじゃない?」
「まあ……」
「だから、駿くん。」
再び名前を呼ばれて、ドクッと一つ胸が鳴った。
また、綿菓子みたいな笑顔。
それはもう可愛くて、けれどこの感情を上手く扱えるほど僕は大人じゃなくて。
どうにも出来ず、ただそれを惚けて見つめた。
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