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「ほんと!!!
いやぁ――嬉しいな。今まで人に飲んで貰った事なかったから心配してたんだ。
ほんと口に合ってよかったよ」
「あ、そういえばお母さんに連絡しなきゃね。きっと心配してるよ。
はい。これで掛けてね」
そう言われ手渡されたのは、電話の子機
私は、箸をそっと机に置くと電話をかける事に集中した。
だが、何かがおかしい……。
「…………」
「……電話後にする?」
私の異常に気がついた水嶋さんが心配そうな目を向けてきた。
私は別に、電話を掛けたくない訳ではない
むしろ掛けて早く家に帰りたい
だけど……だけど……
「……番号が……わからない……」
「え?」
黙々とご飯を口に運んでいた水嶋さんの手が止まった。
だが、何かに気付いたらしくポンっと手を叩くと、席を立った。
「そうか。携帯に入れていると忘れちゃうもんね。
タウンページ持ってくるからちょっと待っててね」
水嶋さんは、優しくそう言うと食卓から出て行った。
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