11人が本棚に入れています
本棚に追加
「麗……私の名前かな……」
何も覚えていない私には、麗というのが私の名前なのか判断する事は出来なかった。
「きっとそうだよ!!
ほら、兄弟や姉妹がいると誰の服なのか直ぐにわかるようにお母さんが名前を書いたりするじゃない!
きっと、これもそうだよ!!!」
水嶋さんが、声高らかに言った。
「……そうだね。きっとそうだね!
なんだか、そんな気がしてきたよ」
冗談ではなかった。
それはなんだか、麗、と聞く度になんだが自分の事を言われているかのような気持ちになったからだ。
だから……恐らく私の名前は、麗なんだろう
「苗字はわからないけど、名前だけでもわかってよかった……。」
味噌汁を褒められた時と同じぐらいの満面の笑みを浮かべていた……。
「ありがとう。水嶋さん」
「どういたしまして、麗ちゃん」
麗と呼ばれた時、なんだか嬉しかった。
けれど、同時に名前と年齢しかわからない自分に不安を抱いていた……。
最初のコメントを投稿しよう!