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さよなら、と耳元で言った声は震えてていつもの強気はどこかへ行ってしまった。
抱きしめた君は柔らかく、暖かくてそっと回してくれた手はほんのり冷たくて。
袖にはいつも決まった涙の後。
いつも泣かせた俺の過ち。
いつもの君は決まって優しくて、俺を許してくれていた。
はず……だった。
君の裏切り。
些細な嘘が告げたほつれた真実は。
自分の罪が形になって自分に返って来た、ような気がした。
許せない俺の心は君でいっぱいで、また疲れた俺がいた。
君に言った最後の言葉は俺の最後の強がりで。
笑って頷いた君の顔には涙の後と笑顔で渦巻いていた。
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