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『カノン』とともに花音が入場してくる。
花音は『カノン』が大好きだった。
僕が弾く『カノン』を幸せそうな笑顔で聴いていた花音。
いつからだろう。
花音への愛が兄妹愛から恋に変わったのは……。
今すぐにでも抱き締めてやりたいのをぐっとこらえる。
花音だっていつまでも僕の後を可愛らしく、息を切らして走ってくる花音ではない。
緊張して強ばった面持ち。
それでも、どこか晴々しく花音は堂々と進む。
出席番号順のために花音は一番前にいる。
母さんは、ステージにいる。
もう、戻れないのかなと思う。
純粋に花音を愛せた自分に…。
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