奎吾

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実は僕には離れて暮らす娘が二人あるが、その娘の生まれる前にも子が一人あった。 名を奎吾という。 はじめ「悟りを啓く」にあやかって「啓悟」にと思ったが、堅いので「奎吾」と名付けた。男名ではあるが、実は本当の性別は分からない。 そう彼はこの世に生まれることなく命を落とした、いわゆる水子だ。 僕が17才、母親が15才のときの子供である。
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