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だが、当日になり、ようやく僕は
―自分がどのくらいのことをしたのか、その意味と重さを思い知ろうとしていた。
その日は休診日だった。
薄暗い待合室から女医に呼ばれて診察室に入ると、診察台の上には、涎を垂らし、白眼を剥いた、変わり果てた彼女の姿があった。両手はだらりと垂れ下がり、死体のようだった。
「友美!」
僕は思わず叫んだ。
「全身麻酔で眠ってるのよ、静かにして頂戴。あなたはそこにいて。絶対に見ては駄目よ!」
女医に促され、薄いカーテン越しの丸い椅子に僕は座らされた。
僕は居ても立ってもいられなくなり、その薄いカーテンの隙間から、その様子を始終伺っていた。
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