奎吾

6/17
前へ
/17ページ
次へ
―今でも鮮明に覚えている。 診察台の脇には、鋭く光る金属製の大きな熊手のようなものがあった。 女医は乱暴にその金属製の熊手を膣内に押し入れると、二度三度とそれをかきまぜた。 わずか1、2分の出来事だった。 ドロッとした肉塊のようなものが、 診察台の下に敷いてある新聞紙の上に、大量の血液と共に落ちていった。 僕は息を呑み、 そして錯乱し、 診察台の脇に駆け寄った。 「まだ来ないで!」 僕はますます錯乱し、 おそらく感傷的になったのだろう、 「せめてよく見ておきたいんです!お願いです!もう一度よく見せて下さい」と頼んだ。 すると女医はこう言った。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加