第2話 我が逃走っ!

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……いない!……いない!……いない! 「くそっ、どんだけ速いんだよ」 ピンポンパンポン 『迷子のお呼びだしを申し上げます。』 なんだ?? 『空峰雪那様、空峰雪那様、保護者の川崎明様がお待ちです。1階の迷子センターまでおこしください』 …………… ヤロー、この忙しい時に……… なんの腹いせだよ。 そんな放送を無視して、俺は妹達をさがす。 おもちゃ屋、服屋、色々さがすがやはり見つからない。 「仕方ねぇ、アキにも頼むか……」 俺は迷子センターに向かう。 自分で言っててなんだが超恥ずかしい。 「アキ~ちょっと手伝って……」 「おぉ~ユキ兄」 妹は何食わぬ顔でクレープを食べていた。 「お、お前ら………」 「諭吉はどこだ??」 「諭吉はもう……」 ナツキはどこか哀しい目をする。 その目やめて!! 俺はその場でしゃがみ込む。 「はい」 1つの袋を渡された俺は3人をみる。 「えっ??」 「プレゼント」 「プレ……」 何でか知らないがどこか泣きそうになった。 「ありがとう。開けてもいいか??」 「うん」 「うん」 「うん」 袋を開けると黒いマフラーが入っていた。 「お揃いだよ~」 よく見ると3人も同じマフラーをしていた。 「ありがとうな、………して、諭吉のお釣りは??」 「ないよ」 「ないよ」 「ないよ」 なぜに?? そんなに高いのか、このマフラー?? 「他に何か買ったのか??」 「そのうちわかるよ」 「ね~」 「ね~」 「ね~」 嬉しかったけど、お前らに罪悪感はないのか?? まぁ、たまにはこういう事もいいかな?? 俺が出来るのってこれぐらいだし…… 「で、福引きはどうなんだ??」 「4回分だって~」 結構出来るんだな。 まぁ、1人1回か…… でも4回じゃ何にも当たらないだろうな…… 「よぉ~し、いくよ~」 妹達はそそくさと福引きの方に歩き出した。 「んじゃ、ありがとうな、アキ」 「じゃあな」 アキとわかれ、妹達を追い掛ける。
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