第2話 我が逃走っ!

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まだまだ冬ですね! 俺は現在、千歳と一緒に学校の帰路についている所だ。 妹達がいるので、高校は歩いて行ける距離だ。 「んじゃな、千歳」 「うん」 家がつながっているので、玄関の前まで一緒だ。 俺は千歳とわかれて玄関をあける。 「お帰りなさいませ、お兄様!!」 …………………はっ?? 「お帰りなさいませ、お兄様!!」 何がどうなっている?? カナ、ナツキ、チアキが玄関の前で正座をして出迎えていた。 「えっ、ええっと………」 落ち着け、俺。 状況を整理しろ!! まず何だ、これは?? ①妹達が俺を倒すために、編み出した必殺技『妹☆アタック』 ②欲しい物のため、恥をしのんで妹プレイ。 ③何かバグった。 いやまて、機械じゃあるまいし、③はないだろ!! 後②の表現止めろ!! 正真正銘、妹だよ、プレイを付けるだけで俺の社会的地位が急降下する。 「おカバンをお持ちいたします」 カナが俺のカバンをとる。 マズイ、武器を取られた!! どうする?? ①戦う ②道具 ③おどかす ④逃げる ⑤襲う まてっ、襲うはマズイ。 意味的には戦うと同じなんだから、2つもつくるな。 そのニュアンスは、非常に危険だ!! 「おやつを用意してございます」 フッ、やはり発想は子供だ。 変な方向に目覚めているわけではないと安心する。 「して、その心は??」 このくだりにも飽きてきたので、そろそろわけを聞く。 「フッフッフッ、よくぞ見破ったな、さすが『灰色の渋柿』だ」 「誰がだよっ!!!」 チアキのボケはいちいち突き刺さる。 「実は、お願いがある」 今度はナツキが話し始めた。 「駅前のデパート、知ってるよね??」 「あぁ」 「行きたい」 「行きたい」 「逝きたい」 「まて、チアキ、お前だけ行く方向が違うぞ」 よほど自分が書いた『さるかに合戦』に自信があるのだろう。 チアキはまだ抜け出せていない。 ナツキいわく、男子生徒の絶対的支持を得たらしい。 「デパートか……」 「福引きがあるんだ」 確かにものは良いが、いつも行っているスーパーよりは少し高い。 「ねぇ、いいでしょ~」 やめろ、可愛い妹にそんな目をされたら……… 「………わかったよ」 折れるしかないだろ………
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