危篤

1/3
前へ
/16ページ
次へ

危篤

夕方ホールでご飯を食べていたら ある教官がやってきた 教官「おいっちょっといいか」 俺「何すか?」 教官「落ち着けよ」 この瞬間体が震えた… 俺「どうしたんすか」 教官「お前の親父が危篤やけ、明日朝一で特別面会行くぞ…」 俺「嘘言わんで下さい…」 教官「こんな事で嘘つくか?」 涙が出そうになった でもひたすら我慢した 俺「わかりました」 教官「気を落とすなよ」 俺「はい」 教官は出て行った 俺は何を考えていいかわからなかった どうにかしたいけど… 少年院の中ではどうしようもなかった 自分の無力さに震えと怒りが止まらなかった そのまま夜も寝れず朝に… 朝5時、誰も起きてないなか静かに少年院を出た バスの中では手錠をされ体にロープが巻かれた 走る事4時間 親父のいる病院に着いた… 病室の前には30人近くのヤクザが並んでいた 挨拶され病室の中へ 居た… 親父がベッドに… 息が出来ていなかった… その横で あれだけ強い母ちゃんが泣いていた… 俺は本当にどうしていいのか分からなかった ただ親父を見つめるだけ 掛ける言葉も見付からなかった… 10分が経ち 30分が経った まだ言葉が出ない すると母ちゃんがハンカチを渡してくれた これで顔拭いてやって… ハンカチを取って親父の顔を拭く 優しく 優しく… 手錠が邪魔して上手く拭けない… 込み上げてくる感情と涙を圧し殺して ひたすら手を握った すると一瞬親父が目を開けた ほんの一瞬こっちを向いてくれた 本当に嬉しかった 最後にたった一回でも目を開いてくれて 本当に嬉しかった… そして時間が来た 教官 「面会時間終了です」 最後にもう一回しっかり手を握って 俺は病院を後にした… 又バスに乗り 少年院へと帰って行った
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加