11人が本棚に入れています
本棚に追加
「船の落とし前、着けさせてもらう。」
厳しい目でロイを睨み、裾の長い海賊服を脱ぎ捨てた。
サシャは思った。
「この人、何かムカつく…」
それは人柄や仕草を指してはいなかった。サシャには無い物をライカは備えていた。
そう…それ程ライカは『女性』として完成されていた。
凛々しい顔立ち、見事なボディラインが、動き易いよう体を覆う箇所を最低限に抑えた衣服から見て取れる。
ライカはティーダに目をやると、更に厳しい顔色になった。
「おや、あんたがターゲットの持ち主とはね…その剣、何としても頂くよ‼」
ライカは腰のバンテージをほどいた。
「鞭か…」
ロイは呟く。
「あたしの鞭は絶対にかわせない‼行くよ‼はぁーっ‼」
鞭はロイに襲いかかる。
「速い‼」
寸ででかわした。
はずが…
鞭は自在に軌道を変え、ロイを捉える。
右から左、上から下、成す術なく打たれ続ける。
「おらおら‼おしまいかい‼さっきの技はどうした‼」
ライカの挑発。
「あれは使わない…僕は…あなたを傷つけたくない‼あなたは…人間だ…」
「甘ったれんじゃないよ‼あたしが先に殺すよ‼」
ロイは既に肩で息をしている。サシャが回復魔法で援護。体力が戻る。
「邪魔だねぇ‼水指すんじゃ無いよ‼」
鞭はサシャを狙う。
ロイの助けは間に合わない。
「ぐぅ‼」
サシャは鳩尾を強打され気を失った
。
「サシャ‼」
「さあ、後はあんただ‼」
再び鞭の乱打。
「出来るか…」
ロイにはたった1つだけ、活路を見出していた。しかしある懸念が二の足を踏ませていた。
「あの技しか無い…でもしくじったら」
「疾風弾か…」
ティーダが囁く。
かまいたちを切っ先に集中し、突きと共に放つ技…
しかし人を傷つけずに使うには『条件』が足りなかった。
ロイはまだ迷っていた。
最初のコメントを投稿しよう!