旅立ち

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「船の落とし前、着けさせてもらう。」 厳しい目でロイを睨み、裾の長い海賊服を脱ぎ捨てた。 サシャは思った。 「この人、何かムカつく…」 それは人柄や仕草を指してはいなかった。サシャには無い物をライカは備えていた。 そう…それ程ライカは『女性』として完成されていた。 凛々しい顔立ち、見事なボディラインが、動き易いよう体を覆う箇所を最低限に抑えた衣服から見て取れる。 ライカはティーダに目をやると、更に厳しい顔色になった。 「おや、あんたがターゲットの持ち主とはね…その剣、何としても頂くよ‼」 ライカは腰のバンテージをほどいた。 「鞭か…」 ロイは呟く。 「あたしの鞭は絶対にかわせない‼行くよ‼はぁーっ‼」 鞭はロイに襲いかかる。 「速い‼」 寸ででかわした。 はずが… 鞭は自在に軌道を変え、ロイを捉える。 右から左、上から下、成す術なく打たれ続ける。 「おらおら‼おしまいかい‼さっきの技はどうした‼」 ライカの挑発。 「あれは使わない…僕は…あなたを傷つけたくない‼あなたは…人間だ…」 「甘ったれんじゃないよ‼あたしが先に殺すよ‼」 ロイは既に肩で息をしている。サシャが回復魔法で援護。体力が戻る。 「邪魔だねぇ‼水指すんじゃ無いよ‼」 鞭はサシャを狙う。 ロイの助けは間に合わない。 「ぐぅ‼」 サシャは鳩尾を強打され気を失った 。 「サシャ‼」 「さあ、後はあんただ‼」 再び鞭の乱打。 「出来るか…」 ロイにはたった1つだけ、活路を見出していた。しかしある懸念が二の足を踏ませていた。 「あの技しか無い…でもしくじったら」 「疾風弾か…」 ティーダが囁く。 かまいたちを切っ先に集中し、突きと共に放つ技… しかし人を傷つけずに使うには『条件』が足りなかった。 ロイはまだ迷っていた。
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