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ライカは焦っていた。
「こいつ…なんで…なんで目が死なないんだ…狙ってる…何かを…でもあの剣…要るんだ…どうしても‼」
ロイは迷っているようで、分析していた。
「疾風弾の調節は鋭い切っ先としなやかな刀身が必要、ティーダの形状では、きっとしくじる…」
ティーダの形状は幅の広いブロードソードタイプ。
刀身が大きいと小刻みに振動させられず、適度なかまいたちを作れない。
その時…
「ロイよ…主の思い…しかと受け止めた…」
ティーダに変化が。
細く鋭い、しなやかな刀身に。
「ロイよ…我が力の一部が覚醒した…」
「ティーダ‼行けるよ‼」
ライカは勝負所と察した。
「ようやくやる気になったかい‼あたしも奥の手だ‼剣は必ず頂くよ‼」
鞭を空中で旋回させる。
ロイも切っ先にかまいたちを集める。
「スネークバイド‼」
「奥義、疾風弾‼」
放つ瞬間捻りを加えられ強力なドリルと化した鞭、極限のかまいたちがすれ違う。
「ぐああ~っ‼」
吹き飛ばされたのはライカだった。
「負けた…いや…まだ…」
しかし体はもう全く言う事を聞かなかった。
サシャが気が付いた。
「…勝負…着いたんだ…」
「サシャ…大丈夫?やったよ。」
ロイはサシャを労い、ライカに駆け寄る。
「ごめんなさい‼」
ライカの体に無数の切り傷。
「ロイ…って言ったかい…同情は要らないよ…止めたかった…ベス…」
ライカは涙ぐんだ。
「どうしたの?ベスって…なんでティーダが要るんだ?」
「大人の事情だよ…」
「俺とティーダ、役に立てない?」
「しつこいよ…同情は要らない…」
涙をのみライカは立ち上がり叫んだ。
「負けだ‼剣は諦める‼応急用の材料持って来な‼日が暮れるまでに船を直してやるんだ‼勝者ロイへ、はなむけ代わりだよ‼」
海賊達が慌ただしく動き出す。
背中に哀愁を漂わせ、ライカは自分の船に向かった。
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