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ロイとサシャは緊張の面持ちでソファーに掛けた。
「ふふ…あたしが苦手かい?」
「あ…いえ…」
「仕方ないだろね…一度はあんた達を狙ったんだからね。」
「さっきスラムを通っただろ…あそこはグスク王が…あたしが生まれてすぐ、民衆の不満のはけ口に作った町なのさ…当時一番貧しい層の人達を国の隅っこに追いやってね…。」
ライカは語り始めた。
「あの巫女も…スラム出身なんだ…あたしの…妹だ…名前はべス…。」
「ええ‼」
「ある日ギャンブルで擦った中流の奴らがちょっかい出しに来て…うちの両親、目があっただけなのに袋叩きにされて殺された…その上家は焼き討ち…たまたま海辺にいたあたし等は助かった…。」
ライカは目を伏せた。
「ひどい…。」
「絶望しか見えなくなったあたし等は海へ身投げしたが…前お頭率いる海賊団に拾われ、生きる力と闘う術を学んだんだ。」
ロイもサシャも固唾を飲んで聞いている。
「そしてある航海でロイ、あんたのティーダにそっくりな金属で出来た石盤を見つけたんだ。そんときゃ石盤がシグだって気付かなかったけど、強い力が秘められてるのは、肌で感じ取れたよ。」
「グスク王への復讐心で一杯だったべスは、得意の精霊魔法で石盤の力を自分の物にし、前お頭を殺し、船を降り、グスク王に取り入ったんだ。」
「ウフズーはベスが運んで来たか…まさか人の手に渡るとは。」
「ティーダが欲しかったってまさか…。」
「あたしは調べ尽くした…石盤の事、金属の事…そしてティーダに辿り着いた。持ち主のあんたが最果て目指してグスクに来る事も…。」
ライカは意を決した。
「あんた達…あたしといっしょに…べスを止めてくれないか‼地獄の憎悪から解放して、天国の両親の元に行かせてやりたい‼このライカ、生涯でいっぺん…あんた達に頭を下げる‼べスの力に対抗するにはティーダが必要なんだ‼」
必死で頭を下げるライカをロイが慰める。
「ライカさん、実はね…僕らもその石盤が必要なんだ。石盤を回収してベスさんを助けよう‼」
驚くライカにロイはウインクしてみせた。
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