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「手伝ってくれるんだね。ありがとう。恩に着るよ。明日の夜城に忍び込むよ。それまでゆっくり休んどくれ。」
ロイとサシャがライカの部屋を出ようとしたとき、手下が一人、血相を変えて飛び込んできた。
「お頭ぁ‼大変だ‼」
「騒々しいねぇ‼客の前だぞ‼」
「ベスさんがぁ‼」
手下はロイ達の存在も忘れて話し出した。その内容の大きさに三人は驚愕した。
三人は下水道を急いでいた。グスク城に侵入するため…
「夜が明ける前にケリ着けないと…。」
ライカの手下が思わぬ情報を掴んでいた。ベスが海軍元帥と結託しグスク国を滅ぼし、スラムの民と新生グスク国を興すつもりらしいのだ。明日の予言公開の時、計画が実行されるのだ。
「日が昇る前に止めないと…。」
ライカは足を止め見上げた。
「出るよ‼間違い無いはず‼」
三人は慎重に外に出た。城壁の内側だ。
しかし…
「アッハハ‼来ると思っていたよ‼」
たくさんの兵士を従え、ベスが待ち構えていた。あっという間に武器を取り上げられる。ティーダも。
「くっ…予知能力…」
舌を打つライカ。
「…シグによる潜在能力の上昇か…主の予言はこの影響であろう…ベスよ。」
ティーダが言う。
「うるさい‼だまれ‼三人を地下牢へ‼見張りを怠るな‼武器は厳重に確保しておけ‼」
三人はベスの予知能力にしてやられてしまった。
「どうする?」
ロイが囁く。
「ベスの予知能力の途切れる時間を待つしかないね。」
「能力が途切れる⁉」
「ああ…ベスは毎夜、城のどこかの祭壇で石盤の力を蓄えているらしい…力が大きすぎて石盤そのものを持ち歩けなくて、一日一回石盤の力を浴びて蓄えるんだ。その時間を突くのさ。」
「脱出はどうするの?」
サシャにライカが答える。
「ふふ…何度もこんな修羅場くぐって来たさ‼任せな‼」
「ティーダのありかは?」
サシャの疑問は瞬時に解消された。
「みんなちょっと静かに…聞こえる…。」
「ロイよ…聞こえておるであろう…ベスの力が極度に落ちた…我は主等の地下牢の真上、見張りの塔の最上階に運ばれた…今なら奴の能力にかからず我が思念で主等を導ける…脱出出来ぬか…。」
「分かった。やってみる。」
三人はお互いの顔を見合った。
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