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塔を駆け下りる三人。
骸骨兵士はもう居なかった。
「なんでアンデットがこんなところに居るんだろ…。」
「ベスだよ。土の精霊魔法の一つに死体を操るのが有るんだ。」
この時最上階の部屋では一人の兵士が意識を取り戻していた。
「おのれ…逃がさん…ヤツを出そう…。」
兵士は小さな玉を取り出し砕いた。
同時に地震のような揺れが起こった。
「何だ‼」
「…何か来る‼」
急ぐ三人の足元から
床を破り巨大な獣のアンデットが姿を現した。
「ちっ…隠し玉かい。」
「戦うしかない‼」
魔物は唸り声をあげ突進してくる。
三人は上手く交わし、ロイとライカが攻撃する。
「くそ、効いてないのか…。」
諦めず攻撃を加えるが、アンデットゆえダメージになっているのかすら分からない。魔物は全く弱る事無く襲ってくる。
「みんな下がって‼」
サシャが詠唱を始めた。ターンアンデット。しかし魔物には効かなかった。
「大き過ぎる…。」
魔物はひたすら突進を繰り返し、牙と爪を振りかざす。
「ロイ、ライカさん、少しだけ魔物を引きつけて‼ぶちかましてやるわ‼」
「分かったよ‼」
「獲物はこっちだ‼」
ロイとライカが魔物の相手をする。
サシャはロッドで光の魔法陣を描く。
魔法陣を魔物の頭上に移動して叫ぶ。
「二人ともそいつから離れて‼」
二人が下がると同時にロッドを振り下ろす。
魔法陣から光のエネルギーの束が降り注ぎ魔物を討った。
凄まじい破壊力は塔全体を揺さぶり、魔物は光と熱で消滅した。
「…裁きの雷…。」
ライカは驚愕していた。
「神聖魔法でこんなのあるんだ…。」
ロイも驚いている。
「さ、終わったよ。」
サシャが微笑む。
「神聖魔法は人を護り、神を護る魔法なんだ。ちゃんと戦う力も秘めてるんだよ。」
「アッハッハ‼加護の指輪が耐えられないわけだ‼あたしゃとんでもない連中と戦ったんだね‼」
ライカは二人を見て
声高らかに笑った。
「さあ急ごう‼」
三人はようやく塔を脱出した。
「ティーダ、ベスの気配は。」
「…かなり遠い…かすかな気配しか感じられない…。」
「祭壇に近づいているね。急ぐよ‼力が戻ると負け確定だよ‼」
ライカは二人を見据えて言った。
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