始まり

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剣を手にしたロイは 再び光に包まれ、遺跡の入口に戻った。 「さっきは息巻いたけど…どうしよ…」 「なぁ…次はどこ行くんだ?」 ロイが剣に話しかけたその時。 「来る…」 剣が鈍く輝く… ロイにもはっきり感じられた。 とてつもない殺気。 とっさに飛び退く。 突如足元から黒い何かが地面を引き裂き現れた。 それは形を成して居なかった… 強い殺気だけを纏いロイに襲い掛かる。 「なんだぁ‼」 目を丸くするロイを剣が促す。 「戦わねば主が死ぬぞ‼」 「そうみたいだね‼」 ロイは決意を固め、剣を構えた。 塊は無数の槍のような形状をとり攻撃して来た。 剣を巧みに振るい攻撃をいなす。 「実戦では相手を見て、相手を掴め‼」 父の言葉がよぎる。 ロイは集中し、敵を見据えた。 無数の槍の中心… 球体の形状を残している… 「あれは…」 ロイは一度大きく距離を取った… 「こっちだ‼」 ロイが走ると全ての槍は伸びて追跡して来る。 その瞬間ロイは一気に反転、球体部分に詰め寄る。 槍は数が仇となり、 上手くロイを追えない。 「そこかぁっ‼」 球体部分に一刀を浴びせる。 「ウブァアァァ…」 渾身の一撃は見事塊の核を捉えた。 真っ二つの塊は、形状を維持する力を失い消えて行く…その時… 「ムラ…オチル…」 塊は不気味に呟き消えた。 「村?落ちる?…」 突如ロイの村の方から 轟音が響いて来た。 休む間もなく走り出すロイ‼ 剣の事、謎の敵… 湧き上がる数々の疑問… しかし今は… 考えている間など無かった。
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