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村が見えて来た時、ロイの心に一気に緊張が走った。
村から煙が立ちのぼっている。
村の門をくぐったロイの目に凄まじい光景が飛び込んだ。
破壊されつくした家屋、横たわる人の山、ロイは言葉を失い立ち尽くした…
「…母さん‼」
自分の家に駆け込む‼
「あ…う…あ…」
変わり果てた姿で母が倒れている…
肉体が枯れ果て乾ききっている。
怒り、悲しみ、不甲斐なさ、様々な感情が一気に溢れる…
ただ泣くしか出来なかった…
肩に手を置く者が現れた。
「きさまかぁぁ‼」
悲しみは瞬時に怒りに変わり、振り払って構えた。
しかしそこにいたのは、優秀な神聖魔法使いの母の弟子で、ロイの幼なじみのサシャだった。
「ロイ…何も出来なかった…何も…」
サシャは崩れ落ちた…
「サシャ‼無事だったのか‼何が‼何があった‼」
サシャは振るえながら答えた…
「突然だった…空が裂けてそこから現れて、手をかざした瞬間村が…エタさんの魔法でこの家だけ無事で…でもあいつは家に入ってきて、エタさんが私を納屋に隠して…それで…命の秘術であいつを何処かへ飛ばした…」
サシャはここまで話しふさぎ込んだ。
ロイは思い出していた…父の言葉…
「泣くな‼どんな目に遭ってもどんな失敗をしても、涙は何も解決せんぞ‼」
『そうだ…泣いても母さんは帰らない…』
ロイは思い、考えた。
「サシャ‼そいつは必ず見つける‼何故村を消し母さんを殺したのか…追って答えを見つける‼」
サシャは答える。
「あたしも行く。あたしも全てを知りたい‼このまま何も出来ないのは嫌なの。それに…アナタのお母さんに認められた一番弟子なんだから。あたしの力は今使うべきなんだ‼連れてって‼」
ロイは彼女に自分と同じ決意を感じた。
「わかった…行こう‼」
「うん‼」
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