羽化

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朝からチョコしか口にしていなかったので、昼食を取ろうとムンバイの町中にある定食屋さんに入った。前の町で知り合ったフランス人の女の子から教えてもらったバックパッカーがたむろする安くてまずい店だ。 店の軒先にオープンカフェよろしく二つのテーブルが設置されている。洒落を意図したものではなく少しでも経済効率を考慮したものであろう。外のテーブルはどちらも顔中を髭で覆われた熊みたいな白人のヒッピーが占領していた。 僕は白熊の脇を通り抜け店内に入った。 店内には6つのテーブルがあり、全てのテーブルは田舎の小学校にある机みたいに脚の長さが不揃いだ。僕は仕方なく一番ましな奥の席についた。 店の奥さんが片手にコップを持ち、僕の元へ来て「トリップかい?」と聞いてきた。僕は曖昧に頷いてタンドリーチキンと フライドライスを注文した。
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