羽化

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目を覚まし、上半身を起こすと頭を何かに打ちつけた。二段ベッドの上段にぶつけたのだ。 頭の上で木が軋む音がする。上の段から頭を逆さにして覗きこむ顔が見えた。すぐに顔を引っ込め、それから小さなはしごを降りてきた。 先程の少女と同じサリーを着た額にビンディを付け鼻に小さなピアスをした妖艶な若い女性だ。二十歳くらいであろうか。少女の面影が残る美しい女性だった。 彼女は僕の傍に座り、両手を僕の頬に添えて、自分の額を僕の額にそっとつけた。彼女は頬笑み立ちあがると、先程と同じ童唄を歌いながら母親を呼びに行った。
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