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ジュンスの瞳は寂しげだった
それはきっとユノの気持ちに似ているのかもしれない
変わり行く愛しい人の心
自分に永遠に向けられると思っていた愛情が日に日に薄れていく距離
それを肌で感じつつも拒絶する願い
でも、すでに遅い…腕を伸ばすには
ジュンスも同じような想いで恋人から去ったのか?
あの日から、羽根を落としたあの日からユチョンの、ユノへの懺悔は始っていた
チャンミンに一目で惹かれてしまったことへの罪悪感
ユノへの愛情に皹が入った瞬間
紛れも無く音を立てて崩れていく積み上げた時間
ユノはそんなユチョンに行けとも行くなとも言わなかった
堕ちたユチョンの羽根を抱きしめ、階段を降りて行く愛しい人の後ろ姿をただ黙って見つめていたユノ
幸せな日々の中で繰り返される過去の『愛してる』の残像
ユチョンはそれに悩まされ、ため息の迷宮から抜け出せずにいた
皮肉な事にそれにチャンミンは気づいていた
故に…
「ジュンス、あなたの力とは?」
「チャンミン、悪魔の力なんて借りるなよ!」
信じられないというような顔をするユチョンの肩を抱くチャンミン
「僕は非力だ。あなたを守れる腕が無い。ただの人間ではあなたを守れない」
腕を振り解き、チャンミンの胸座を掴むユチョン
チャンミンまで代償を払う事はないと強く思う
「チャンミン…それでも、やだよ。なんか、お前まで失う気がするんだよ!俺をあのベンチに座らせるつもりか!?」
「ユチョン…」
「さぁ、どうする?俺はこの際どっちでもいいや」
ヴウォーーーーン
ヴウォーーーーン
ヴウォーーーーン
サイレンは鳴り響く
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