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老人の蛍売りが呼び出しブザーを押す
ユチョンがその虫は楽園でしか生きられないと告げると、老人は「余計な事を」と呟き去っていった
このところ本当に増えた楽園からの輸入(?)品が
だけれどユチョンは知っている
全てが楽園でしか生きられず、楽園でしか使用できない事を
またブザーが鳴った
がっくりと肩を落としながら、玄関の扉を開けると
「よ!」
「ユ、ユノ!」
楽園でしか生きられない天使がなぜ地上へ?そんな疑問を口から出せずにいたユチョンに昔と変わらなくユノは微笑んだ
「身売りだよ」
「身売り?」
室内に招きいれ、コーヒーを入れるとユノはダイニングの椅子に腰掛けた
ソファーに座れば良いのにと思いながらも、ユチョンも反対側に座る
「王に身売りしたんだよ」
「王って、あの能力者のこと?」
「あぁ。最初は拒否してたんだけどな。お前にも未練があったし」
「…ごめん」
「過ぎたことだ、気にするなよ。それに、今の俺の置かれてる状況には満足してるんだ」
「…王が好きなのか?」
「はは、好き?か。まだ、分からないよ」
「王ってどんな人なんだよ?」
「すごい美人。と言っても男だけど」
「そうか…ここ(地上)に居ると情報にうとくなって」
「いいじゃないか、情報が溢れれる場所お前苦手じゃないか?丁度良いだろ。生活は?不自由してないのか?」
「あぁ」
「そっか」
「用事はそれだけなのか?」
「…お前、戻る気ないか?楽園に」
突然の申し入れに戸惑うユチョン
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