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(…帰らなきゃ)
思うの。
こんな時に動かない足は一体、ああ、まったく、なんなんだろう。
一つ、呼吸する。
空気が肺を突き刺す。
同じくらいあなたの笑い声が耳に突き刺さる。
いやだ、うごけ、あたしの足!!
あの子に見つかって面倒なことにはなりたくないでしょうに。
カン高い声があなたの耳をくすぐって私の神経を参らせる。
甘い声。甘ったるい声。
それでも、したたかな女はむしろ駆け出したい冷静。
できれば、わたしが今ここに立っていることがあの二人にバレてほしい。
そしてあの子に敵だって、わたしは敵なんだよって教えてあげたいの。
あの子はあなたの前でどんな顔をするの?どんな話をするの?どんな風に妬いて、どんな風に髪をかきあげるの?
あなたが好きな、"わたし"になりたい。
、なんて言ったらきっと貴方は怒ってわたしに説教を始めてしまうだろうね。
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