狂おしいほどに

2/5
前へ
/19ページ
次へ
けいちゃんの手が、スカートの下を這う。 けいちゃんの顔が、うなじに埋もれる。 けいちゃんの声が、あたしを何度も呼んでる。 …嘘。 本当のけいちゃんは、こんなにごつごつした手じゃないし、けいちゃんの香水はシャンプーみたいな匂いがする。 最も似てないのはあたしの名前を連呼するところ。 そんなに自分勝手なセックス、けいちゃんはしないよ。 「ごめん、帰る。」 男の体をすり抜けるようにベッドから降りて立ちあがる。 「おい、みか!!」 男は声を荒らげて腕をつかむ。 ふりはらう。 ついてくる。 急いでドアを開けて、すっかり冷えきった外気を身体中に取り込む。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加